テンポと波長
めまぐるしく変わる天気に、泰然としているように見える野菜や木々や草花たち。20メートル近い突風が吹いたかと思うと、次の日には穏やかに風もなく暖かな一日となったり。今日は朝からしとしとと降る冬の雨である。春を心待ちにする日々は、どこまで続くのだろうか?
種を少しずつ播いている。定期的に播く葉もの類のほかに、バジルやキャベツなど、初夏に収穫できるものを播き、ミニトマトも播いた。露地では、ホウレンソウや小カブ、人参も播いた。たくさんの種類の種を、少しずつ播いていくのが、多品目有機栽培農家の特徴である。今収穫しているホウレンソウは、11月に播いたものである。12月に播いたものも育ってきているし、1月に播いたものもある。今播いたホウレンソウは、4月頃収穫になるだろう。
種を播く時には、だいたいどんな時期に収穫されて、どのような姿になるかをイメージしながら播く。一方、人は、どのような未来へのイメージを持って、日々を行動するのだろう?例えば、長女のホルン。エチュードを繰り返し練習していくこと、基本の音階を練習すること、ロングトーンを練習すること、などなど練習するものは山ほどあるが、コンクール応募のソロ曲のようなものに取り組む時には、やはりどのようなイメージを持って吹くかを示さなければいけない。伴奏してくれるピアニストとの息を合わせることも含めて、リーダーシップをとることも要求される。ただ相手に合わせるだけではだめなのだ。
人は長年生きていると、その人のテンポというものを知らず知らずのうちに体得している。人と人とのコミュニケーションでは、そのテンポなども合わせなければいけないのかもしれない。あるいは、その人特有の波長のようなもの。波長の合う人合わない人は、確実に存在する。相手のテンポや波長に合わせながら、自分のテンポや波長を修正していく、その能力が経験というものになってくるのかもしれない。自分のテンポや波長に合わないからと言って、相手のせいにしてしまっては摩擦ばかりが生じることになるだろう。
野菜は、天候に左右される。天候によって、成長速度が変わってくる。冬の気温の低さと乾燥は成長を著しく遅くするし、真夏の暑さでは全く成長しない野菜もある。人間の子供でも、いつまでたっても子供だと思っていたりすると、突然に成長を見せることもある。急激な成長の時にばかり目を奪われがちだが、成長の遅い時にこそじっと我慢して見守ることが必要だと思う。成長を見せない時には、じっと何かを蓄えていたりするもので、ある種のスイッチが入るとそれが一気に開花する。成長の遅いときほど、様々なものを吸収しているのだろう。
人間の世界は、記録を重視する。遅くゆっくり成長することを認めないかのように、常に速さを競わせる。その世界もあっていいが、ゆっくりの世界に目を向ける必要はある。野菜が化学肥料や農薬を使うことで、成長を早くすることと似ている。ゆっくりのテンポ、緩やかな波長、そういったものの味わいは人を豊かにする。とはいえ、日々の生活では、時間に追われて、なかなかそのような味わいばかりとはいかない。この頃の急激な天気の変化は、人間の真似をしているのかもしれない。現世(うつしよ)とはよく言ったものである。
2013年2月15日 寺田潤史
種を少しずつ播いている。定期的に播く葉もの類のほかに、バジルやキャベツなど、初夏に収穫できるものを播き、ミニトマトも播いた。露地では、ホウレンソウや小カブ、人参も播いた。たくさんの種類の種を、少しずつ播いていくのが、多品目有機栽培農家の特徴である。今収穫しているホウレンソウは、11月に播いたものである。12月に播いたものも育ってきているし、1月に播いたものもある。今播いたホウレンソウは、4月頃収穫になるだろう。
種を播く時には、だいたいどんな時期に収穫されて、どのような姿になるかをイメージしながら播く。一方、人は、どのような未来へのイメージを持って、日々を行動するのだろう?例えば、長女のホルン。エチュードを繰り返し練習していくこと、基本の音階を練習すること、ロングトーンを練習すること、などなど練習するものは山ほどあるが、コンクール応募のソロ曲のようなものに取り組む時には、やはりどのようなイメージを持って吹くかを示さなければいけない。伴奏してくれるピアニストとの息を合わせることも含めて、リーダーシップをとることも要求される。ただ相手に合わせるだけではだめなのだ。
人は長年生きていると、その人のテンポというものを知らず知らずのうちに体得している。人と人とのコミュニケーションでは、そのテンポなども合わせなければいけないのかもしれない。あるいは、その人特有の波長のようなもの。波長の合う人合わない人は、確実に存在する。相手のテンポや波長に合わせながら、自分のテンポや波長を修正していく、その能力が経験というものになってくるのかもしれない。自分のテンポや波長に合わないからと言って、相手のせいにしてしまっては摩擦ばかりが生じることになるだろう。
野菜は、天候に左右される。天候によって、成長速度が変わってくる。冬の気温の低さと乾燥は成長を著しく遅くするし、真夏の暑さでは全く成長しない野菜もある。人間の子供でも、いつまでたっても子供だと思っていたりすると、突然に成長を見せることもある。急激な成長の時にばかり目を奪われがちだが、成長の遅い時にこそじっと我慢して見守ることが必要だと思う。成長を見せない時には、じっと何かを蓄えていたりするもので、ある種のスイッチが入るとそれが一気に開花する。成長の遅いときほど、様々なものを吸収しているのだろう。
人間の世界は、記録を重視する。遅くゆっくり成長することを認めないかのように、常に速さを競わせる。その世界もあっていいが、ゆっくりの世界に目を向ける必要はある。野菜が化学肥料や農薬を使うことで、成長を早くすることと似ている。ゆっくりのテンポ、緩やかな波長、そういったものの味わいは人を豊かにする。とはいえ、日々の生活では、時間に追われて、なかなかそのような味わいばかりとはいかない。この頃の急激な天気の変化は、人間の真似をしているのかもしれない。現世(うつしよ)とはよく言ったものである。
2013年2月15日 寺田潤史
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