新しい気候を受け入れて

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 お彼岸の中日、全国で雨が降っているというのに、夕方までほとんど雨が降らなかった。先日播いた大根の種がようやく発芽してきて、虫に食われないうちにと慌ててネットをかけたのだが、土がさらさらと乾いて、土ぼこりが舞うくらい。このまま今回も降らなかったらお手上げだね、と思っていたところへようやく雨が来た。四時間ほどで二五ミリの雨が降った。まだ降っている。安堵である。そして、気温はこの秋はじめての18度台までいっきに下がった。相変わらず極端な天気だこと。

 先週芽が出ていたラデッシュは、ネットをかけてあったにもかかわらず、今日見たら跡形もなくなっていた。どんなにネットの裾を土に埋めて密閉したと思っても、これだけ暑いと虫も旺盛である。加えて雨のないカラカラ状態。草むらを歩けば、蛾の飛び交う数が無数である。こんな時、無理をして草をなくす方法をとるよりも、時を待つことの方がよほど効率的だ。気温が高くて雨のない状態に、種をまいていわば赤ちゃんたる芽を出させて保護するよりも、涼しくなるまで時を待つやり方。それは、真夏に大根や小松菜を無理して作付けることと対照的なやり方で、この地方の有機農家は、皆、時を待つ方法を取っている。それでも、時期的にはもう限界にきている。これ以上は、種播きを遅らせることができない時期だ。季節の限界にようやく雨が降ってくれた。

 今までが暑かったので、ナスはずっと好調な出荷を続けている。需要が多くて供給が追い付かないくらいである。まわりの農家のナスが少ないらしい。先日、ファーマーズマーケットの野菜担当の方に聞いたところでは、ナスの出荷が少ないのはナスの剪定をしたあと暑くて新芽が出てくれなかったことによる、とのこと。通常、ナスは8月初旬から中旬にかけて一度収穫を中止して、葉や枝をバッサリと剪定してしまうやり方が多い。そうすると、また新芽が出てきて、秋ナスを収穫できる。その剪定を7月中にやった農家はまだよかったらしい。通常通りの時期に剪定した農家の秋ナスが少ないのである。

 うちは、その剪定のやり方をしない。10年以上前だと思うが、文献で四国のナスの産地の栽培方法を見て、うちにも取り入れた。ナスを一つ収穫したら枝を切り戻して剪定する方法だ。これは、収穫するだけではないので少し手間であるが、否応なくナスの樹をよく観察できるというメリットがある。そして、ナスの収穫を休む期間がないために、野菜セット型出荷をする農家向き、あるいはナス専業農家向きである。収穫を休む期間がないということは、僕たちの休みもないということにもなるけれど…。

 今年の夏が異常に長かったことは、栽培方法にも変化をもたらしていくのだろう。種播きの時期も変化している。今年だけが異常なのではないだろう。来年はどうなってしまうのだろうか?この涼しい気候を頂いていることだけをよしとしよう。先のことはわからない。今までの経験や計画性も大事なんだけれど、この夏を乗り越えてきたことを一つの満足として、新しい気候を受け入れていくほかはないだろう。

2010年9月23日 寺田潤史

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この夏もずっと葉ねぎは人気があった


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秋ナスは秋の空に向けて

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